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三養雑記

なぞ〳〵
後奈良院御撰何曾といふ書あり、群書類従にも収めたり、そのかみのなぞ〳〵は、今やうとはすこしく異なり、予かつてきゝたるに、こばたひつくりかへして七月半お、たばこぼん、雀が利お持ながら目おぬかれ、されども子おぼ羽の下にありお、硯ばこ、うみ中てんだうして月なかなかすまずお、蔦葛(つたかづら)、あさつてはあたご参りお、たまごと解ける類、大かたこのおもむきなり、今児戯にいへるが中にも巧拙あり、破れ障子とかけて、冬の鶯ととく、心ははるおまつ、こはれ三味線とかけて、男の気性ととく、心はひくにひかれぬ、などやうのことあまたあれど、鄙俚なるものゝみいと多し、