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寒用入道筆記
謎語之事
一春夏秋冬お昆布に裹だ、何ぞ、 小式部
一ふすべぬかわ衣打きせた、何ぞ、 北白川
一焼亡打れした、何ぞ、 人丸
一股蔵のたぬき、何ぞ、 枕
一むらさきの袈裟、すみ染の袈裟、何ぞ、 さゝ
一山がらが、山にはなれて、去年ことし、何ぞ、 唐錦
一山々に風が入た、何ぞ、 嵐山
一わたましのあした、何ぞ、 すみ染の袈裟
一くさゝにさつた、何ぞ、 かいでの木
一ほの〴〵とあかしのうらの朝ぎりにしまかくれ行舟おしぞおもふ、このうたは字あま に て候、何ぞ、 筆
一古今の序やぶれて、歌人の中終る、何ぞ、 きんかん
一酒の入物十、何ぞ、 すゞむし
一あかぬわかれ、何ぞ、 はなれうし
一田、何ぞ、 もみぢ
一花、何ぞ、 なるみ崎
一はらから、何ぞ、 鏡台
一太山路や深山がくれの薄もみぢ紅葉は散てあとかたもなし何ぞ、 茶磨〈○下略〉