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今物語
承久の頃、住吉へ然るべき人の参らせ玉ひけるに、折ふし神主経国京へ出たりけるが、人おはしらせて、住の江殿など掃除させよといひやりたりけるに、あまりのきらめきに、年比しるべき人々の、書おかれたるうたども、柱なげし妻戸にありけるお、皆けづり捨てけり、神主くだりて是お見て、こはいかにせんと、足ずりおして悲しめどもかひなかりけり、