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平家物語
十一
のと殿さいごの事
新中納言とももりの卿、〈○中略〉判官〈○源義経〉お見しり給はねば、物のぐのよき武者おば、判官かとめおかけて飛でかゝる、〈○中略〉判官の舟にのりあたり、あはやとめおかけて飛でかゝる、判官かなはじとや思はれけん、長刀おば弓手のわきにかひはさみ、みかたの舟の二丈ばかりのきたりけるに、ゆらりととび乗給ひぬ、のと殿はやわざやおとられたりけん、つゞいてもとび給はず、