[p.0994]
陰徳太平記

相合就勝謀反附生害之事
上総介就勝は、九郎義経にも不劣軽業兵法の達者にて、鎗お提、援お最後と振舞れたり、鷺就勝逐北て深入し給所に、敵取て返つければ、門前の土橋へは引事お不得、面三間の隍お、閃りと飛て渡り給ふお、寄手の者其是お見て、あら恐しの行跡や、葛城高天の岑に住なる、大天狗の変化にやと、不覚舌お巻、心お寒して立たりけり、