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沙石集
六下
母之為忠孝有人事
鎌倉の故相州禅門の中に、祗候の女房有けは、腹あしく、たて〳〵しかりけるが、或時成長の子息の同じくつかふまつりけるお、いさ、かの事によりて、腹お立て打たんとしけるほどに、物にけつまづきて、いたくたふれて、いよ〳〵はらおすへかねて、〈○下略〉