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家忠日記増補

永禄七年正月十一日、土屋長吉郎は大神君近習の士也、一向の宗門たるに依て、一揆に与して、命お叛くと雲へども、今日大神君の軍、危きお見て、土屋一揆の賊徒等に語て曰く、吾宗門の為にして、君命お叛て、逆徒に与して骨お砕く、屢苦戦す、今又君の軍危し、此時宗門お棄て、君の為に死ん、是臣が忠也と雲て、大神君の先隊に来り加て奮戦、矢に中て終に死す、