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古事談
六/亭宅諸道
武則公助と雲古随身ありけり、何お父何お子とは不分明父子之間也、右近馬場の騎射わろく射たりとて、子お勘当して、晴にて馼けるに、逃去事もなくて被打ければ、見人いかに不逃して、かくは被打ぞと問ければ、衰父の父若令逃者追などせん程に、若顚倒しなば、極て不便なりぬべければ、如れ此心のゆくかぎり被打ぞと申ければ、世人いみじき孝子也とて、世のおぼえ事外に出来にけり雲々、