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武将感状記

一氏綱〈○北条〉伊豆に攻入時、ある里の家ごとに、二人三人病おしける、其故お問せらるヽに、壮なる者は、皆乱おさけて、山林に逃竄れ候、我等疫痢お病候によつて、起る事も協はずして、敵の手に死お毛省ず候と雲、氏綱憫て其里お侵さず、一物おも掠とらず、薬おあたへ食お与られぬ、民大に悦ぶ、是より衆人聞伝て志お帰す、氏綱伊豆お得の基となる、