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常山紀談
二十三
鮭延越前は最上義光の長臣、禄一万五千石なり、最上の家亡て後、流落しけるに、もとより家人に慈愛深かりし人にて、士二十人附従ひ、各乞食して養はんといふ、土井大炊頭利勝五千石与へければ、二十人の士に五千石皆あたへて、各二百五十石なり、其身は二十人のもとに一日がはりに養はれて、一生お終れり、越前死すれば二十人の士大に愁傷して、一宇お建立す、今下総の古河城下の鮭延寺これなり、