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閑散余錄
附錄
京の大火の時鐇川辺まぢ焼けるに、仁斎〈○伊藤〉はほは川の中床お置、酒お携て、更に憂る色もなし、門人訪ゆきた、其家の焼たるお弔ければ、さんば天災いかんともすべからず、立さわぎて、年老たる身の、あやまちしたはあしかりなんと思て、初よりこヽに居候ぬ、先酒一つ飲れよとて、何心もなかりしお、見る人のかたりしとて、松崎子允の語りき、