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今昔物語
十三
理満持経者顕経験語第九
今昔、理満と雲法花の持者有けり、〈○中略〉棲お不定ずして、所々に流浪して、仏道お修行する程に、渡りに船お渡す事こそ無限き功徳なれと思ひ得て、大江に行居て、船お儲て、渡子として、諸の往還の人お渡す態おしけり、亦或る時に、京に有て、悲田に行て、万の病ひ煩悩む人お哀て、願ふ物お求め尋て与ふ、