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有徳院殿御実紀附錄

歷世の霊廟、公〈○徳川吉宗〉の御時にいたり、東叡三縁の両山にて、既に七廟に及べり、これ古礼、天子七廟の制に嫌ひなしとせず、末の世のならはしにて、かくはなり来りし事ながら、歷世建置れし諸廟お、我世にあたり減ずべきにあらず、わが百歳の後は、新に廟お建べからず、常憲院殿〈○徳川綱吉〉の廟中に配祀すべしと仰出されけり、その後、大猶院殿〈○徳川家光〉の霊廟火災にかゝりければ、これおも厳有院殿〈○徳川家綱〉の廟に配祀させ玉ひ、遂に当家の定制となされたりこれも費用おおしませ玉ふにあらず、礼数お定め玉へるみこゝろざしとぞ聞えし、