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平家物語
十一
先帝御入水の事
新中納言知盛卿、小船に乗て、いそぎ御所の御舟へ参らせ給ひて、世の中は、今はかうと覚候、みぐるしき物共おば、みな海へ入て、舟のさうぢめされ候へとて、はいたり、のごうたり、ちりひろひ、ともへにはしり廻で、手づからさうぢし給ひけり、