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常山紀談

勝頼〈○武田〉長篠敗北の後、蘆田常陸介信蕃(のぶしげ)、二股の城お守る、三河の軍、五月〈○天正三年〉下旬より此お攻むる、〈○中略〉信蕃固く守りて、十一月に至りて、城おわたし、甲州に引入べしと、勝頼再三下知せらるれども聞入ず、勝頼自筆の書おもて、下知せられしかば、十二月下旬に、人質お出し、廿三日に城お渡さんと約せしが、雨ふりければ、蓑笠にて見苦く候とて、翌廿六日、天晴て後、城おわだし、二股の川の辺にて、人質おとりかへ引とれり、