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台徳院殿御実紀附錄

宝算五十〈○徳川秀忠〉に満せ玉ひし頃、藤堂佐渡守高虎ものゝ序に、尊齢已に知命に及ばせ玉へば、今よりは何事もすこし御ゆるみあつて、御心のまゝに御遊などおはしましなば、いかにと申上しお聞しめし、女等が如きは年老て後、何事おなすとも妨あるまじけれど、われはかしこくも、即闕の官に在て、天下の具瞻する所なれば、死ぬまでつゝしみても尚たらずと仰ければ、高虎かしこみて、御謹慎の老てもおこたらせ玉はぬお、感じ奉うけるとなり、