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完永小説
おどり御すき被遊、毎日上覧〈○徳川家光〉有之候処、家綱公御誕生の後は、其事無之候間、御咄しの衆より、久しくおどり上覧無之候間、御覧有之候様に、御挨拶申上候得ば、其節上意に、隻今まではかやうの儀、上覧遊され候ても、不苦候へども、最早若君様御誕生遊され候上は、若輩なる儀は、上覧被成まじく由上意なり、当座の御挨拶の様に、皆々存られ候処、御他界ましまし候迄、終におどり上覧無之候、〈于時御年三十八〉