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古事談
六/亭宅諸道
入道殿〈○藤原道長〉被造東三条之時、有国〈○藤原〉奉行之、西の千貫之泉透廊南へ長く差出たる中程一間不打上長押、殿下御覧之、など不打長押哉、下も土にて弱々と被仰けれど、無何申成て止畢、然間上東門院立后之後、始入内給之時、此上長押あらば可有其煩之処、御輿安らかに令出給之間、有国砌に候けるが、頗こはづくろひお申たりければ、殿下被御覧たるに、指おさして上長押お見せたりけり、いかにも可有此義と存て、御輿の寸法お計て不打長押雲々、思慮深者也、