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続武将感状記
秀吉公〈○豊臣〉九州お平均し給ひて、筑州博多の野割お、孝高〈○黒田〉に命ぜらる、孝高四兵衛〈○久野〉おして、其の事お掌らしむ、是より前、博多の町は、兵火に焼けて、其跡草深く修理も定難し、四兵衛思惟して、古井あるところお尋子、其井お以て、屋鋪のあ戸ところお定め、経営不日にして、成就してけり、肥前名古屋にて、諸軍勢の小屋割お秀吉公近臣に命ぜらる、其功速に不成ければ、孝高に仰付られ、孝高事お四兵衛にはかられけるに、四兵衛平生島目一貫文下人に持せけるが取出し、太閤の御前にて、銭お以て、即時に指図おなす、孝高処々お改て、御目に掛られければ、御心と応じ、早速に出来ぬと歎美し給ふ、