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藩翰譜
七/堀
此年〈○慶長十五年〉十月九日、駿河の国府の城、故あつて殿舎悉く焼失せぬ、直寄〈○堀〉火救うて功ありしかば、明る十六年地加へ賜つて賞せらる、〈○註略〉
直寄真先に御宝蔵に馳せ来て、火お救ひしに依て、数の御宝多くの金銀も焼けず、又火救ふべ き料の器毎に、おのが名、並に悉く数いくらの内といふ事お書きて、かしここゝに捨置きけり、 其比は世にかく火お救ふべき具など、儲へし人なければ直寄が捨てたりし器取りて、火救ふ 人も多し、今日の功、独直寄に帰して、かねて用意の程も神妙なりと、御感に預りしとなり、