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明良洪範続篇
十五
毛利元就常に申されしは、智慮万人に勝れ、天下の治乱、世の盛衰お心に懸る者は、生涯に真の朋友は一人も有べからず、千年の前後に誠の朋友は有べし、是等の人一時に生れなば、己お害するか、又我に害せらるヽかのにつ也、若二人志お同して、世お治めんに於ては、四海太平、万民安堵と称する世成べしと、酒宴などありて、機嫌好き折柄は、柱にもたれて空お詠め作ら、毎度此事お語られける、癖の様に有しと也、