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古事記伝
三十五
聖帝二字お比士理(ひじり)と訓べし、日知(ひしり)の意なり、但し此は皇国の元よりの称には非じ、〈上巻に聖神と雲あれど、其は借字なり、〉聖字に就て設けたる訓なるべし、〈○註略〉其は漢籍に、聖人と雲者の徳おほめて、日月に譬へたることあるお取て、日の如くして、天下お知(しろ)しめすと雲意なるべし、〈○註略〉されば天皇お賛奉て日知(ひじり)と申すは、此天皇より始まれる事にて、漢国の例に効へる称なり、