[p.1286]
醒睡笑

躻(うつけ)
腑のぬけたる仁(○○○○○○○)にえびおふるまいけるが、赤お見てこれはうまれつきか、又朱にてぬりたる物かと問ふ、生得はいうがあおけれど、かまにていりてあかふなるといふお、合点しいけり、ある侍の馬にのりたる先へ、二間まなか柄の朱鑓二十本計もちたる中間どものはしるお見、手お打つて、さても世はひろし、きとくなる事やと感ずる、なにおそなたは感ずるやと問ひたれば、其の事よ、いまの鑓の柄の色は、火おたいてむいたものじやが、あれほどながいなべがよふあつた事やと、