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続世継
三/内宴
かつはきみの御すぐせもかしこく、おはしますうへに、少納言通憲といひし人、のちは法師になりたりしが、鳥羽院にも、あさゆふつかふまつり、この御時には、ひとへに世中おとりおこなひて、ふるきあとおもおこし、あたらしきまつりごとおも、すみやかにはからひ、おこなひけるとそきゝ侍る、〈○中略〉かの少納言からの文おもひろくまなびやまと心も、かしこかりけるにや、天文などいふ事おさへならひて、さえある人になん侍りける、よはひさまでふるき人にても、はべらざりしに、今のよにも、いかにめでたくはべらまし、御めのとは、だい〳〵もなきにはあらぬお、このえのすけなど、かりそめにもあらで四位の少将中将なるに、さま〴〵のくにのつかさなどかけて、あまりに侍りけるにや、はねいるものはまへのあしなぐ、つのあるものは、かみのはなき事にて侍るお、ましてみちの人ならぬ、天文などのおそれある事にや、よろづめでたく侍しに、おしくも侍るかな、