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続古事談
二/臣節
故少納言入道〈○信西〉人にあひて、敦親はゆヽしきはかせかな、物お問へば不知々々と雲と被雲けり、其問たる人、不知と雲むは、何のいみじからんぞと雲ければ、身に才智あるものは、不知と雲事お不恥也、実才なきものヽ、よろづの事おしりがほにする也、都て学問おしては、皆の事おしりあきらむる事と、人のしれるは僻事也、大少事おわきまふるまでするお、学問のきはめとは雲なり、それお知ぬれば、難義お被問て、不知と雲お恥とせぬ也とぞ雲れける、