[p.1298]
続古事談
二/臣節
四条大納言隆季、或人に問雲、行幸の幸の字、これおもちひる何の故ぞ、其人え答へざりけり、そばにて梅小路中納言長方、それは本文あり、天子行処必有幸といへり、故に幸の字お用る也、御幸には行の字お用る、小野宮水心抄なむと雲、古き日記には、皆御行とかきたる也、たヾし世の末ざまには、上皇の御ゆきみな勧賞あり、されば幸の字お用るも、議たがはざる事也、仙院の渡御おば御行と雲、帝王の御出おば行幸と雲也、御行もとよりみゆきなり、行幸も又みゆきとよむなり、