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文会雑記
一上
一君修〈○松崎〉の雲、春台は、博識なれども、古書にきはめて精密なり、東涯は、古書には精密ならねども、博識は大に春台にこへたりと覚ゆ、来翁は、博識なれども、後世の書はさのみ精しからず、それゆへ、論語徴に古書おひかれたれども、後世の書の説の、自分の見と合たるもあまたあれどもひかれず、これ後世の書おば、さのみ見られぬなり、隻むつかしくすみにくき書お、よみくだくことすきにて、戚南塘が書、武備志明律など、人の中々得よまぬものおとかれたり、