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甲子夜話
十三
来門には放達不羈の人多し、行検お以て取るべからずといへども、其気象快活近世の腐儒には優るべし、筑波山人〈石仲綠〉は、家常に四壁のみにて、担石の貯もなき時、人より講経お請て招けば、浄瑠璃本お携行て、見台に載、さきの好みの経書など、諳誦にて、講義の用お成せしと雲、