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浚明院殿御実紀附錄

無点の唐本、何にてもすら〳〵と御よみあり、〈○徳川家治〉御晩年には、多紀安元元恵〈奥医師、後法印永寿院といふ、〉などおもて、御伴読となされしとぞ、同人のかたりしは、中々尊貴の御学問にはあらず、具に博士風の御学問なりと、ひそかに感服し奉りけり、また成島忠八郎和鼎おば、御休息の御座所、又は御茶屋にめされて、御質問ありしが、いかにも好文の主にてまし〳〵けるとて、ひそかに感嘆し奉りたり、