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太平記

千剣破城軍事
宗徒の大将達評定有て、御方の向ひ陣と、敵の城〈○千剣破城〉との際に、高く切立たる堀に橋お渡して、城へ打入らんとぞ巧まれける、為之京都より番匠お五百余人召下し、五六八九寸の材木お集て、広さ一丈五尺、長さに十丈余に、梯おぞ作らせける、梯既に作り出しければ、大縄お二三千筋付て、車お以て巻立て、城の切岸の上へぞ、倒し懸たりける、旅般が雲梯も、角やと覚て巧也、