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続古事談
二/臣節
八条大将保忠と申人おはしけり、本院のおとヾ〈○時平〉の子なり、大にはぢられたる人也、内へ参り給ける道に、時の靭負の佐あひて、車よりおりて立たりけり、大将とがめて雲く、騎馬の時、此礼あるべし、車にてはあるべからず、靭負佐陳じて雲く、車にておりざる事は、たがひに其人としらぬ時の事也、君随身ぐし給へり、我又火長相したがふ、すでに其人と知ぬ、何ぞ礼節おいたさヾらんと雲けり、大将理におれてほめ給けり、