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老人雑話

島田弾正法名由也〈越前守兄〉直士也、〈○中略〉或時老中会して、米高直にして、万民困窮すとの評橋あり、その時、由也雲、老中の歷々、米の買置などめさる間、米何としても、下直には成まじと雲、誰買置れたるぞと雲れければ、先づ酒井讃岐殿からが、買置めさると雲、其時讃州雲、我聊此事なし、さらば深津九郎右衛門お呼とあり、深津来りて、曾て此事なしと雲、由也居長高に成て、某月某日、大豆何程買しお知たり、馬の口も限りあり、是は買置にあらずや、其外証拠多しと雲つめたり、如此の人今は不聞、