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常山紀談
二十三
土屋但馬守数直、執政たりし時、金座の者ども相はかりて、金に銀お入て、ふきかへられなば、日本国の金甚多くなるべし、金の色の損ずるのみにて、莫大の利なれども、但馬守用いられじ、但馬守だに此事お聞入られなば、事行はるべしといひたるお、数直に申す人あり、兎角の答なくて、打過られしかば、又人おして問せしに、但馬守是は邪なるわざなり、金お以て天下の宝とするは純物なるが故なり、其宝お惡くせんとや、思ひもよらぬ事なりと、いはれけるとぞ、