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吉備烈公遺事
酒井空印入道なりしや、道中にて伊勢参宮の小児、十二三歳ばかりの者に逢へり、銭おとらせて、女が国は何方ぞと問ふ、小児(○○)曰、備前岡山の城下に侍る、入道其声お聞て、否々女が言声は、大和ときこゆるぞ、前言は虚なるべしと雲、小児腹お立て、吾国岡山の百姓に、嘘お雲ふ者は候らはずと、貰し銭お投捨て去る、入、道大に、感歎して雲、新太郎今世の君子と聞けり、今にして信ぜり、吾過てり〳〵、