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孝義錄
二/伊賀
潔白者弥兵衛〈伊賀国阿拝郡上柘植村の百姓なり〉
弥兵衛〈○中略〉三七といふものゝ宅地おかひそへ、畑になさんと思ひて、薮お打おこしけるに、一つの徳利の、鍬にあたりて破れしが、内より金の出ければ、〈○中略〉弥兵衛、長にむかひて、地おば求めしかど、金の土中より出んことは、思ひもかけず、いかにもして、もとのぬしに返し給はるべしとて、見返もせず、