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新編鎌倉志

滑川
按に、二程全書に、程子昔し雍華の間に遊、関西の学者六七人従行、一日千銭お亡ふ、僕者の曰、晨装に遺るに非ず、必ず水お渉時に此お沈むるならんと、程子曰惜哉、或人の曰、是誠に可惜也、一人の曰、微なる哉千銭、亦何ぞ惜に足、一人の曰、水中と囊中と、人亡ふと人得ると、以て一視すべし、何ぞ惜べき事お歎ぜん、程子の曰、人苟に此お得ば亡ふに非ず、今乃ち水に墜ば用なし、吾是お以此お歎ずと雲ふ、是誠に異域同談なり、左衛門が心、能く程子にかなへり、