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奥州後三年記

将軍〈○源義家〉つはものどもの、心おはげまさんとて、日ごとに剛億の座おなんさだめける、日にとりて剛に見ゆる者どもお一座にすへ、億病にみゆるものお一座にすへけり、おのおの億病の座につかじとはげみたゞかふといへども、日ごとに剛の座につく者はかたかりけり、腰滝口季方なん、一度も億の座につかざりけり、かたへもこれおほめかんせずといふ事なし、季方は義光が郎等なり、将軍の郎等どもの中に、名おえたる兵どもの中に、〈○中略〉鏑の音きかじと耳おふさぐ剛のもの、紀七、高七、宮藤王、腰滝口、末四郎といふは、末割四郎惟弘の事なり、