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古今著聞集
十六/興言利口
中比六のあしげといふあがり馬有けり、いづれの御室にか、大法おおこなはせ給ひけるに、引せられにけるお、ある房官に給はせてけり、あがり馬ともしらで乗ありきける程に、有時京へ出けるに、知たる人道にあひて、此馬お見て、いかにさしものあがり馬の名物、六のあしけには、かく乗給へるぞといひたりけるに、おくしてたづなおつよくひかへたりけるに、やがてあがりて、なげゝるに、てんさかさまに落て、かしらおさん〴〵につきわりにけり、おかしかりける事也、