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神皇正統記
後醍醐
およそ政道といふことは、所々にしるしはべれど、正直慈悲お本として、決断のちからあるべきなり、これ天照大神のあきらかなる御おしへなり、決断といふにとりて、あまたの道あり、一には、その人おえらびて官に任ず、その人ある時は、君は垂共してまします、されば本朝にも異朝にも、これお治世の本とす、二つには、国郡おわたくしにせず、わかつところかならずその理のまゝにす、三つには、功あるおばかならず賞し、罪あるおばかならず罰す、これ善おすすめ、惡おこらす道なり、これに一つもたがふお、乱政とはいへり、