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訓誡は、邦語に之おおしへと雲ひ、又いましめ、若しくはいさめとも雲ふ、即ち其言の人の教訓鑑誡となるべきものお謂ふなり、吾国古来風俗敦厚にして、常に行実お重じ、特に言お立てヽ、世人お教誨する等の事甚だ希なりき、然れども事に臨み時に応じて、臣下お誡め、子弟お へ、又は自己の鑑誡お作り、或は家訓お設けて、家族の為に、其遵守すべき規範お示し、或は遺誡お書して、子孫の為に、長く服膺すべき教訓お遺し、或は又他人の需に応じて訓誡お与へしものも亦鮮しとせず、今其梗概お採て、此に収載せり、C 名称