[p.0230][p.0231]
万葉集
五/雑歌
神亀五年七月二十一日、筑前国守山上憶良上、 令反惑情歌一首〈並〉序
或有人知敬父母、忘於侍養、不顧妻子、軽於脱履、自称畏俗先生、意気雖青雲之上、身醴猶在塵俗之中、未験修行得道之聖、蓋是亡命山沢之民、所以指示三綱、更開五教、遺之以歌、令反其惑、歌曰、
父母乎(ちヽはヽお)、美礼婆多布斗斯(みればたふとし)、妻子美礼婆(めこみれば)、米具斯宇都久志(めぐしうつくし)、余能奈迦波(よのなかは)、加久叙許等和理(かくぞことわり)、母智騰利乃(もちどりの)、可可良婆志母与(からばしもよ)、由久幣斯良禰婆宇既具都遠(ゆくへしらねばうきぐつお)、奴伎都流其等久(ぬぎつるごとく)、布美奴伎提(ふみぬぎて)、由久智布比等波(ゆくちふひとは)、伊波紀(はきより)欲利、奈利提志比等迦(なりてしひとか)、奈何名能良佐禰(ながなのらさね)、阿米幣由迦婆(あめへゆかば)、奈何麻爾麻爾(ながまにまに)、都智奈良婆(つちならば)、大王伊麻周(おほきみいます)、許能提羅周(このてらす)、日月能斯多波(ひつきのしたは)、阿麻久毛能(あまぐもの)、牟迦夫周伎波美(むかぶすきはみ)、多爾具久能(たにくぐの)、佐和多流伎波美(さわたるきはみ)、企許斯遠周(きこしおす)、久爾能麻保良叙(くにのまほらぞ)、可爾迦久爾(かにかくに)、保志伎麻爾麻爾(ほしきまにまに)、斯可爾波阿羅慈迦(しかにはあらじか)、
反歌
比佐迦多能(ひさかたの)、阿麻遅波等保斯(あまぢはとほし)、奈保奈保爾(なほなほに)、伊弊爾可弊利提(いへにかへりで)、奈利乎斯麻佐爾(なりおしまさに)、