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承久兵乱記

きんつぎこういけんの事
大しやうきんつねふし、しざいにおこなはるべきよし、おほせければ、しよきやう、くちおとづるところに、とく大じの大じんきんつぎの申されけるは、ちよくめいのうへは、さうにおよばず候へどもごしらかはのほうわうの御とき、ともやすと申、ぜんごおしらざる、ふとくじんのものゝ、ざんそうにつかせ給ひつゝ、よしなかお、ついたうせんとせられしが、きそいきどほりおふくみ、ほうじゆうじ殿へむかふて、せめたてまつる、みかたのいくさ、一ときのうちにやぶれて、きみもしんも、ほろび給ひき、いまさら、たねよし、ひろつながざんにより、よしときおせめらるべきか、かたきおほろぼさんにつきても、みかたのほろびんにつけても、大じんいげなうごん以上の人に、しざいおおこなはんこと、よく〳〵えいりよお、めぐらさせ給べきかと、はゞかるところもなく、申されけり、一いん〈○後鳥羽〉げにもとや、おぼしめしけん、しざいおなだめらる、さてこそ、かまくらにもつたへうけたまはりて、このえのにうだう殿、とく大じのうだいじん殿、りやうしよおば、かたじけなきことに申されけれ、