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明良洪範続篇

大久保越中守、館林の御家老に仰付られ、誓詞の時、其誓詞の文の中に、御心得違にて、万一御逆意の思召立も有ん時は、早速言上仕べしと雲文お見て、此儀は御請仕難し、臣たる者君の非お申立る事有んや、道に違ひたる御行ひも有ん節は、幾度も諫言仕り、其上にも御用ひ無ければ、其時の臨機応変に仕るべし、いかなる惡事成りとも、公儀へ申上ん事存じもよらず、但し善事は大小とも早速申上べく候と雲て、誓約せられける、