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徒然草

高名(○○)の木のぼりといひしおのこ、人おおきてゝ、たかき木にのぼせて、梢おきらせしに、いとあやうくみえし程は、いふこともなくて、おるゝ時に、軒だけばかりに成て、あやまちすな、心しておりよと詞おかけ侍しお、かばかりになりては、飛おるゝともおりなん、いかにかくいふぞと申侍しかば、其事に候、めくるめき、枝あやうき程は、おのれがおそれ侍れば申さず、あやまちはやすき所になりて、必仕ることに候といふ、〈○下略〉