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十訓抄
十一
八幡の楽人元正、当宮領備中国吉河保〈二条御神楽〉に下向して上洛の間、檉生の泊にて心神違乱如亡、片鬢雪のごとく変、奇異の思おなして、巫女に占ふ所に、吉備宮託宣し給て雲、適当国に下向、其曲おきかざるによて、祟りおなす所也、忽に押帰て彼社に参て、皇帝以下の秘曲お吹間、白髪忽にもとのごとし、猶道の眉目(○○○○)といふべし、