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烈公間話
一加藤清正〈江〉常陸守殿紀伊殿お御縁者被仰付候、東照宮被仰候〈於駿府の事と也〉は、常陸守事清正の婿に申合上は、諸事子息同前に御心得給候へと被仰候由、御次間〈江〉被出時、清正〈江〉御当家の家臣衆被申は、唯今の被仰やうにては、定て御満足に可有由被申、清正雲、猶忝存候、作去昔秀吉公の御時、厚恩は忘れ不奉と被申、御当家の老臣挨拶可仕様無之、然所に成瀬隼人正とりあへず、其御思召御猶至極也、又家康公の御恩おかうむりたる者も亦其通に、家康公の御恩重く存ずる也と被申、名誉の挨拶也、