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仮名世説
南京陶工に、五郎太夫呉祥瑞造と銘お書きたるあり、祥瑞は日本勢州松坂の陶工なり、入唐の間、彼邦にて製したる物なりといふ、明の正徳八年帰国の時、季春亭なるもの、送別の詩あり、送居士五郎太夫帰日本、
敬将玉帛覲天顔、回香扶桑杳渺間、船泊古鄴三仏地、杯伝新酒四明山、梅黄細雨江頭別、帆引清風海上還、明主貴王応有問、八方財貢溢朝班と聞けり、実に名誉の陶工といふべし、