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台徳院殿御実紀
附錄一
神君〈○徳川家康〉の御遺金おわかたせ給ふ時、尾紀の両卿はおの〳〵三拾万両、水戸の頼房卿へ拾万両遣はされき、御みづから〈○徳川秀忠〉は天下お譲り受玉へば、この外に何お求んとて、一品も御身に付させ給はず、長久手の役にめされし御鎧は、名誉の御品なれば、これはいかにとうかゞひしに、それも御物にしたまはず、