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平家物語

ぐわんだての事
去程に山門には、御さいだんちゝの間、日吉の神よおこんぼん中堂へふり上げ奉り、その御前にて、しんどくの大般若お七日読みて、後二条の関白殿〈○藤原師道〉おじゆそし奉る、けちぐはんのたうじには、仲胤法印、その時はいまだ仲胤供奉と申しゝが、高座に上り、かね打ちならし、けいひやくのことばにいはく、我らがなたねの二ばよりおふしたて給ひし神たち、後二条の関白殿に、かぶら矢一つはなちあてゝ給へ、大八王子ごんげんと、たからかにこそきせいしたりけれ、