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義経記

へいせんじ御見物の事
弁慶申けるは、〈○中略〉ふえにおいては日本一ぞかし、たゞししさい一候、此少い人は、はぐろにおはしまし候時も、あけくれふえにのみ心おいれて、がくもんの御心もそら〳〵に御わたり候し程に、こぞの八月はぐろお出し時、師の御坊今度の道中、上下かうのあひだ、ふえおふかじといふちかひおなし給へとて、ごんげんの御前にて、かねおうたせ奉りて候へば、少人の笛おば御めん候へかし、